死を意識したから
昔から思って来た。
「凄い人間になりたい」
小さなころは偉業だとか小説家になって芥川賞を取るだとか、明るい夢を内包した「凄さ」だったのが、絶賛中二病の時にはドラゴンを召喚するとか異能の力に目覚めるという現実逃避に重きを置くように。
そして今の私に出来る「凄い事」と言えば、せいぜい自分の体にダイナマイトでも括りつけて人気のない山の中で火柱を上げるくらいだろう。
たくさんの選択肢や時間のあった時はとうに過ぎた。分かれ道で選択をし、若さを消費して歩いてきた私の人生は一体何だったのだろう。
どこからこうなったのだろう。
どうしてこうなってしまったのだろう。
これまで悲しい事も辛い事もあったし、そのときは今が人生で一番辛いんだから、あとは上がるしかないと思ってきたけれど、現状はそれよりも上の場所にいるのだろうか。危難が去ったとはいえ素直にそう思えない。
よく株や先物の取引で下げ止まったところを「底」なんていうけれど、私の人生の底はどこにあるのだろう。色々な事がありすぎて、今後の夢だとか目標を決めて前向きに生きていく元気が湧いてこない。
そして本当は死んでしまう事に無念さもある。多くの事をあきらめてきたつもりだけれど、やっぱり諦めきれない。理不尽さや許せない出来事だって沢山ある。それを自分一人で抱えて死にゆくのも口惜しくてならない。ペンは武器になり得るという。絶対に許せない思いを書き残すことによって、何かになるのかもしれない。
だから勝手な自分語りになるが、30を迎えるこの時に自分の人生を見詰め直してみたい。そしてやり直していくための切っ掛けを掴めるのか、最後の挑戦をしたい。