影を殺せ!!

死ぬまで抜け出せない呪いもある

昔の親友

わたしにも親友がいた時期があった。小学生の頃から社会人になるまでだから、いわゆる幼馴染だ。私にとってはとても大事な友達で、何を失ってでも友達でいたかった。

 

天真爛漫で人当たりがよくて、妹気質で、守ってあげたくなるような可愛らしい子だった。

 

中学1年生の時に同じクラスになって、彼女を通して仲良しグループもできた。グループの中で他の子が幼馴染と仲良くしていると、なんだか複雑な気持ちになったりしたものだ。それでも高校・大学・社会人と進んでいっても彼女は私と仲良くしてくれたし、学校を卒業しても定期的に会っていた。だけれども本当にしょうもないことで縁が切れてしまった。

 

けれど今は関係が健全だったとは思えず、複雑な気持ちになる。

 

例えば誕生日やクリスマスに、私の稼ぎには似合わないような高額なプレゼントをした。オーダーメイドだったり一から作って貰った至極の一品を贈っていた。ご飯を食べに行く時の場所決めや予約は、およそ9割以上私が行っていたし、お支払いを私がすべて持つこともあった。パーフェクトなまでのメンヘラ貢ぎ女だ。

 

彼女がとても大事な存在だという事を、私はそういう上っ面の手段でしか表現ができなかった。話を聞いたり、困った時に手を差し伸べるという事は当たり前なのだけれど、自分の彼女に対する親愛の気持ちがいかに特別なのかという事を証明したかった。

 

そんな一方的なロイヤリティは単なる押し付けでしかない。嫌いだった母と同じような事をしていたと、今になってゾッとする。

 

縁が切れた出来事とは、ある時に彼女と遊びに行く計画をしていた。彼女とやりとりをする前日に私がおつきあいをすることになった男性がいた。そこで私が「彼に目的地まで車を出して貰うのはどうか」と言ったことで彼女がかなり激しい拒絶反応を見せた。

 

「チクワちゃんに彼氏ができたとか、どうでもいい。私はこれまでチクワちゃんのことを沢山赦して来た。遊びに行く気持ちを維持する自信が無い」という内容のメッセージで目の前が真っ白になった。どうしてだか分からないけれど、すごく悲しくて腹立たしくて仕方が無かった。

 

これまで私の家族の状況を別の子にペラペラ話した時だって、すごく嫌だったけれど文句を言ったこともなかったよ。いっぱい大変な事もあったけれど怒ったりしなかったよ。必ず遅刻してくる貴女に怒った事があった?今回だって公共交通機関がなくて、車で片道2時間半もかかる場所に行きたいっていったのは貴女だよ。私しか運転できないのに、往復の送迎はしんどいって思わなかった?

 

みたいなしょうもないことが一気に噴き出して、もう収まりきらなかった。100%好きで100%完璧なんて人がいないのは当然だし、友人に「あれ?」なんて思う事もきっとあるのだけれども、「赦して来たのに」という言葉に対して、私だって我慢してきたのに!という気持ちになった。

 

(書いているととんでもないヒステリーで悲しくなります)

 

それ以来どうなったのかは分からない。着信やメッセージの拒否をしたことだけは確かなのだけれども、薬を飲んで文句を書き連ねたメッセージを送ったような記憶もある。ただその記録がなにひとつ残っていないので、薬で飛んだ時の幻覚だったのかもしれない。

 

その時の彼女の本意は今となってはよくわからない。きちんと聞くこともせずに、より激しい拒絶で対抗してしまったというか、一方的に何もかも閉ざしてしまった。きっと話せばお互いの感覚の違いもあっただろうし、誤解もあったのかも知れない。

 

それでも今は仕方が無かったように思う。

 

私の一方的な言い分なので、これは話四分の一くらいにとどめて戴きたいのだけれど、人当たりが良くて優しくても、他所の家庭内の事、それもネガティブな事をいいふらすのは天真爛漫であっても範疇を超えている。

 

どんなに甘え上手でも、出して貰うのが当たり前になってしまうのもどうなのだろう。今の私が彼女の立場になったとしたら、固辞するか、後日何かを渡して余計に気を遣うから二度としないようにと言うかな。

 

確かによく知らない男性が参加すると楽しめないことや話せないこともある。だからこれは私が悪い。ただスケジュールを立てたり、移動手段もすべて私が担うのでは”一緒に”遊びに行くのとは違うようにも思う。

 

私は彼女の事が大好きだったし、包括的に肯定していたのだけれども、少し違うのかなあなんて思った。だから今は幼馴染に対してどう思っているのかはよく分からない。

 

何となくだけれども、向精神薬の依存と同じように、友人の存在に依存していたのかも知れない。素敵な思い出もあるけれど、違うなあという思い出もあるし、自分への反省がその100倍はある。なかなかに難しい。

 

それ以来、友達のようにご飯を食べに行く先輩はいるのだけれど、あまり深入りもしなければ自分の事も多くは話さないようにしている。解らない事だらけだ。