影を殺せ!!

死ぬまで抜け出せない呪いもある

4.チンパン家族とのご対面

変態教師の事をチンパンと多用しているが、チンパンジーとは関係ございません。(テレビ局並の保身)

 

チンパンがどこかの女性を襲おうとしたことにより、またもや私の周りがざわつくことになった。長く内縁の妻的なポジションだった母に対して、チンパンFam.がコンタクトを取って来た。今後の事を話し合いたいというので、私も母に同席してチンパン弟と対面した。輪郭こそ違えども顔の造りがよく似ていた。

 

不快感が強く、大声で怒鳴ってしまいたかった。あなたたちがアイツを縛ってでも換金してでも、なんならぶち殺してでもつないでおかなかったせいで、私も、私の家族もめちゃくちゃにされたのに、何が今後の事だよ、と。

 

私はあらかじめまとめていたことを伝えるので精いっぱいだった。

 

情状酌量のために証人になる気はない。母も今のところはそう言っている。しかしもし執行猶予つきでシャバに出てきたり、刑期を終えた後に二度と私達に関わらないことや、報復をしない保証はどこにあるのか。これまで私の家族はあなたの兄のせいでめちゃくちゃになった。わたしは何なら公訴時効を迎えていない自分への暴行、強姦についても被害届を出すか迷っています。どないしますの」

 

それに対して彼は「兄があなたに接触しないよう、僕が全力でお守りします」と至極まじめな顔をして答えた。もう腹が立つとか悲しいとかではなくて、体の力が一気に抜けて何もかもがバカらしくなった。

 

24時間365日の警護が出来る訳でも無い。そもそも似た顔、同じ血の流れている人に近くにいられたら不快でしかない。何を以て「オマモリ・シマス」なのか。チンパンがその気になれば何でもできる。

 

チンパンに会わないために一生引き篭もれるのか。お金はどうする。学校はどうする。普通に生きて行くために自衛として出来るのは、会いそうな場所へ行かないことや催涙スプレーを持つことくらいじゃないか。

 

結局話し合いはする意味があったのか疑問に思うくらい平行線をたどった。のちの話になるが母はチンパン家族からかなりの額の示談?口止め?慰謝料?を受け取っていた。

 

確かに母もチンパンに殴られたり歯を折られたりしていた。きっとチンパンの起こしたことで傷ついただろう。しかし彼女の場合自分が選んだことじゃあないか。DVを受けても娘が頼んでも、なんなら警察が来た時でさえチンパンをかばったのに慰謝料って何だろう。それも私への被害を出汁にして。

 

「娘はチンパンのせいで精神科に掛かるようになったし、それに対して一番痛みを感じさせる手段はお金しかなかった」みたいなことを電話で話しているのを聞いてしまったのだけれども、いや、それならその数百万だかを私にオクレ・・・と思ったのは我儘でしょうか。ドウデショウ。

 

私は当時大学生である。よく小説である「ラムネの様に薬を飲んでいた」というのは身につまされる表現で、四六時中ラリパッパだった私ではあるが、何とか地元の国立大学に受かっていた。問題文も覚えていないし、小論文も何を書いたのかも覚えていないけれど、奇跡的に受かったというか幸運を使い果たした。

 

家はぐちゃぐちゃだったけれども、だからこそ普通を取り繕うようにしていた。していることがちぐはぐなんだけれど、「これよりも堕ちちゃいけない」っていう気持ちが強かった。生来の見栄っ張りなんだ、きっと。可哀想って言われるのもしゃくだし(同情するなら金をくれ精神)内弁慶だし、特に若い頃は他人の評価に依存していた。

 

しかし私の大学生活の実態は泥だった。何度もODをして病院のお世話にもなったし、切腹をしたこともあった。その感情を上手く表すことができないのだが、自分がもうどうしようもない存在で、自分で自分を救うことも出来なければ夢も希望もなにもなかった。

 

薬を沢山飲んで暴れては母に暴言を浴びせる。壁にハンマーで穴をあけた事もあった。まるで私はチンパンそっくりだった。そんな自分がまた憎くて薬に逃げた。そのくせ腹が立って口惜しくて仕方なかった。

 

20歳を超えてお酒を知ってからは、もっともっとひどくなった。薬に加えてアルコールが入り、朝方に眠っては夕方に起き。生活はぐちゃぐちゃ。